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技術~「テクニック」と「スキル」の違い

  • Mojo
  • 2017年9月4日
  • 読了時間: 4分

古田新太さんが何度も何度も称賛していた「技術に裏打ちされた表現力」っていうのは正にその通りだなと思います。

歌にしても楽器の演奏にしても「音を出したい!」っていう初期衝動や情熱こそ大事で、技術なんて二の次という説を唱える人がままいます。 確かにパッション(passion)やエモーション(emotion)は大事ですけれど、「表現せずにはいられない」というマグマのような感情からくるものとして捉えるとやはりそれはギフト(gift=天賦の才)の範疇であって、技術のように磨くものではありません。 表現したいものが技術など必要なく表現出来るならそれでいいのですが、表現したいものを表現するために技術が必要であればそれを習得して磨く必要があります。なので単に「二の次」で済ませられる話ではないはずです。

こと音楽に関して「技術」というと、多くの方が「テクニック(technique)」という言葉を用いたり連想したりすると思いますが、私が音楽に関して「技術」という言葉を用いる時はほとんどのケースで「スキル(skill)」を意味します。

関連して言うと、「練習」にも「トレーニング(training)」と「プラクティス(practice)」という違う言葉があります。 トレーニングとは、継続してやることによって増強し、止めると衰えてしまうという要素があるものに対する練習を意味します。「筋トレ」とかまさにそうですよね。速弾きの練習とかもそうでしょう。いわば「可逆的」なものです。 片やプラクティスとは一度身についたらほぼ永久的に失うことのない感覚を得るための練習を意味します。一番わかりやすいのは自転車の練習とかでしょうか。一度乗れるようになったらしばらく乗らなくても練習要らずで乗れますよね。いわば「不可逆的」なものです。

ラグビーの元日本代表ヘッドコーチであるエディー・ジョーンズさんは以下のようなことを言っています。

「ラグビーで一番重要なのはスキルです。スキルとテクニックの違いを知ることも大切です。日本のコーチはテクニックばかりを教えます。キャッチパスをとっても、どういうパスをどんなタイミングで出すかを教えるのがスキルです。子供たちに教えるときは、状況判断とセットにする必要があります」

以上を踏まえると、基本的な技術(テクニック)はトレーニングによって磨くことが出来るのだけれど、状況判断を伴う応用技術(スキル)はプラクティスでなければ得られない、ということが言えるのではないでしょうか。

だから「テクニックはあるけどスキルがない人」っていうのが存在しうるわけですね。 逆に「テクニックはそこそこだけどスキルは高い人」っていうのも存在するわけです。

スキルが高い演奏家なら、その時その音楽を表現するためにどうすればいいか、その中で自分が出来ることはなにか、自分の引き出しにあるテクニックの中から必要なものを選別して即座に表現出来るはずです。 間違っても引き出しにあるテクニックを全部ひけらかそうなんてことはしませんし、ああ、こういう時はこういうテクニックが必要だな、自分には足りないな、と感じて練習するのがトレーニングであり、その感覚を引き出しに新たに加えて実践出来るようになることがプラクティスでありスキルの向上なのです。

石川さゆりさんは歌のテクニックはもちろん物凄いのですが、それを用いて表現するスキルが更に異常に高い歌い手さんだなと、あらためて思いました。

「ロックはテクニックじゃねぇ!」 「ジャズはテクニックが必要」 こういう言い方、まあわからなくはないのですが、どちらにしても表現者ならスキルは必要というのが私の考えです。 だから私が言う「技術」とはほぼ「スキル」のことです。

私は「最後にものをいうのは技術だ」と信じています。 お前は今のままでいい、だなんて思いたくも言われたくもありません。 自分、初期衝動だけで全てを表現しきれるほどの天才ではないので。


 
 
 

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