リズムは大きく感じ取れ
- Mojo Yamauchi
- 2014年3月4日
- 読了時間: 4分
テクニックは十分あるし、フレーズの歌わせ方なども間違ってはいない・・・
それなのに「つまらない」と感じる演奏があるのは何故なんだろうか。。。
最近一つの答えを導き出した。
決してそれが答えの全てではないのかもしれないけれど、説明のつく大事な要素であると確信している。
それは「リズムの感じ取り方」だ。
一番わかりやすく顕著に表れるのが16ビートである。
16ビートの演奏をする時に16ビートでしか感じられない人の演奏は、聴いていてとてもつまらない。
そういう人はリズムを取るカラダの動きを見ても、だいたい「オモテ・ウラ」で取っている。
速い16ビートの時は「8のオモテ・ウラ」、スローな16ビートの時は「4のオモテ・ウラ」、である。
リズムは割りと正確だが、ノリは縦ノリである。
よりバック・ビートを感じながらであれば、「オモテ・ウラ」ではなく「ウラ・オモテ」になるはず。
そうするとノリは縦ではなく横ノリになる。
歌を歌いながらギターでリズムを刻む人ならおわかりだろうが、バック・ビートの刻みは、自然とやや後ろに溜める感じになるはずだ。
同様に、歌モノのバックで叩く上手いドラマーのバック・ビート、すなわちスネアのショットのタイミングもかなり後ろ気味に聴こえる。
「リズムの感じ取り方」が活きたリズムとなっているからだ。
ではシーケンサーの分解能で言う16分音符や32分音符的な「ジャスト」という点では間違っていないのだろうけれど、間違っていなくても正しいと感じない、つまり面白く感じない、聴いているコチラのカラダが揺れない、反応しない場合というのは、シンコペーションやアクセントといった面での演奏者のビートの感じ方が、聴いている側にもそのまま伝わる(逆説的に伝わらない)からじゃなかろうか。
ビートというのは細かくなればなるほど、いかに大きくゆったり感じ取れるかが非常に重要になってくると思うのだが、つまらない演奏に聴こえるケースというと、大体がシャカリキになって、いや、シャカリキじゃなく自然体であろうが、その細かいビートを追いかけている感じに聴こえてしまうのだ。
16ビートと言っても、内包する2や4や8という単位のビート感、バック・ビートを大きく切り取る感覚が無いと非常につまらないものになる。
T.O.P.のドラマー、デビッド・ガリバルディなどがやる、ポリリズム的なアプローチによる16ビートのリズム・シーケンスでは、必ずしも2拍目・4拍目にスネアのショットが来るわけではないが、ベースやリズム・ギター等と相まってリズム隊としてのリズムを構築しているわけで、個々でやっていることは細かくても、それらがパズルのピースのように合わさった時、強烈なバック・ビートと強靭なGROOVEを醸し出し、大きなリズムのうねりとなって姿を現す仕組みになっている。
逆の言い方をすれば、リズムを大きくとらえる感覚が無ければ出来ない芸当である。
何故か日本人のミュージシャンの言う「ファンキー」のイメージは、すぐにBPM120超の早いテンポでチャカチャカチャカっていう16のギター・カッティングという方向にいくし、そういうのをやりたがる人も多いのだが、結局前述したようにひたすら「8のオモテ・ウラ」でアタマやカラダ動かしてる感じで、本質的に全然ファンキーじゃないパターンって、本当によく見かける。
もしそれが8ビートの縦ノリRockだっていうんなら、それはそれでありだけれど、横にノレないリズムってもうファンクじゃないじゃん。
横にノルこと、バック・ビートを意識するのにオススメのリズム・シーケンスが、「ハーフタイム・シャッフル」である。
ジェフ・ポーカロが叩いたTOTOの「Rosanna」が超有名パターンだが、
ジェフ自身が言っているように、なんと言っても本家はバーナード・パーディーだろう。
この強烈なバック・ビートの感覚は、レゲエにも似ている。
リズムをスクエアにオモテ・ウラでとっている人は、大概レゲエが様になる感じには出来ないようだ。
横ノリ感覚を磨くためにレゲエを聴くこともオススメする。
この感覚が必要なのは、何もドラマーばかりではない。
むしろドラム以外のパートの人にこそ参考にしてもらいたい。
そしてその辺を踏まえた上で、最後にスティーブ・ジョーダンがジャムっている様子を是非観て欲しい。
ここまで観たら、いいGROOVEってやつは腰にくるもんだって実感出来るはずだ。